楽曲について
「奪うひと」は、
誰かを強く傷つける物語ではありません。
気づかれないまま、
言葉や態度の隙間から、
少しずつ何かを持ち去っていく――
そんな人の姿を、静かに見つめた曲です。
大きな音は鳴りません。
ただ、空気が少し冷えていくような感覚だけが残ります。
歌詞に流れる感情
この曲には、怒りも断罪もありません。
あるのは、違和感とためらいです。
何かが欠けていくのに、
誰も立ち止まらない。
言葉は交わされているのに、
温度だけが置き去りになる。
そんな場面が、
歌詞の行間に滲んでいます。
「奪う」という行為について
ここで描かれる「奪う」は、
強引なものではありません。
・都合のいい沈黙
・見ないふり
・正しさに隠れた無関心
どれも、日常の中で簡単に起こることです。
だからこそ、
この曲に登場する「奪うひと」は、
どこか遠い存在ではなく、
すぐ隣にいるようにも感じられます。
投げかけられる問い
その手のひらは
受け取るためだけにあるの?
この一節は、
誰かを責める言葉ではありません。
自分自身に向けて、
そっと置かれた問いです。
何かを得たとき、
同時に失われたものに、
目を向けていただろうか。
この曲が残したいもの
「奪うひと」は、
答えを提示する歌ではありません。
聴き終えたあとに残る、
小さな引っかかりや、
言葉にならない感情。
それらを、
無理に整理しなくていい、
そんな余白を残すことを大切にしています。
リスナーへ
もしこの曲を聴いて、
少しだけ立ち止まったなら。
誰かの声や、自分の沈黙に、
耳を澄ませたくなったなら。
それだけで、
この歌は役割を果たしたのだと思っています。
「奪うひと」は、
問いを抱えたまま、
静かに隣に座るような曲です。
奪うひと | Lyrics
奪うだけのひとが
今日も街を歩いてる
触れたものの温度さえ
自分の影にしてしまう
誰かの「足りない」は
いつも見えないふりをして
飽和したポケットだけを
誇りのように揺らしてる
ねぇ その手のひらは
受け取るためだけにあるの?
差し出す痛みを
知らないままでいいの?
言葉を飾って
善人の仮面を並べても
静かに欠けていく世界に
気づけないのは誰?
奪われた声が
空に溶けて泣いている
「与えること」を忘れた街の
行き先はどこだろう
もしも明日が
残響だけの世界なら
その手の重さを
初めて知るのかもしれない

