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【うさぎの自由帳】胸にしこりが出来たので独身イケメン医師に会ってさらにXXな写真を撮る決意をした話

 2020年12月某日の朝、目覚めた際、ウ~ン!と思いっきり伸びをした後、頭上に伸ばした手を何気にふと胸に当てるや青ざめた。

―しこりがある…

それはまごうことなく、はっきりとしたしこりだった為、朝日差し込む朝の気分は一気にどんでんし、暗~い気持ちに陥ってしまった。

 そこから思考が目まぐるしく変化していく..

 まず最初に思ったのが「もう恋、出来ないのかしら?!」だった。

 次に思ったのが「切除に備えて、ヌード写真を撮っておこうかしら?!」だった。

 そこからさらに、「とりあえず病院行かなくっちゃ…!どうせ行くなら素敵な医師に出会いたいわ!オッ、出会いのチャンス、チャンス!!」と浮かれた思いも芽生えてきて、

 気付いてから2時間後には、病気で死に至るまで思いが及んでいた。もし、これが悪性ならば私は後何年生きられるのか?!私がこの世でなすべきことはやり切れるだろうか?!

と..

 私は、不安から友人に電話をかけまくった。誰かに聞いて貰いたかったのだ。

「もしもし、私、うん、実はさ、朝起きた際、胸触ったらしこり見つけちゃってさ~。仕方ないから、病院行って検査してこようと思っているところなんだけどね。これはチャンス!と思ってさ。若くてイケメンで性格良くて将来有望で独身でその上私に一目ぼれしてぞっこんに惚れる、そんな医師のいる病院に行きたいな、と思っているんだけれど、どこかそんな病院知らないかな?」

 こう話すと、電話をかける友人という友人、皆口を揃えて「イケメンじゃなくて、名医を探せ!」と言ってきた。冗談じゃない!!それでは、お楽しみがないってものである。でも、みんなしつこく名医を勧める。仕方ないので、

 「分かった。主治医はベテランの名医にしよう。若くてイケメン独身の医師は、何にもしなくていいからサブとしてチームに入って、そばにいてくれればいいわ!」と私なりに友人達を納得させる折衷案を考え提示したりしていた。

 チャットでやりとりをしたNPO法人しぶたねのたねちゃんからは、「手をつないでいる役ですね!」と「そうそうそうそう!」と思わず膝を打ちたくなる的確な指摘がなされた。

 「手をつないでいる役」・・であれば、それはもはや医師である必要はなく、思い浮かぶのは「ホスト」の人たちである。

「そうそう、まさにね、手をつないでいてくれる人。手術が終わったら、頭をポンポンって叩いてくれて、『よく頑張ったね!何か甘い物でも食べにいこっか』と病院内のカフェにでも連れ出してくれる人。そんな人が欲しい!必要!!」

病院の待合室の籠の中に置かれていた飴🍭🍬🍬
「どうぞ」の言葉が添えられて。不安な心を和らげる細やかな心配りが嬉しい。棒付き飴🍭ってどうしてワクワクするのかしら。

 かくして、10人中9人は「名医 推し」であったが(皆、人生に真面目で真剣だ。汗)一人だけ、「キャー、襲ってきちゃいなさいよ~!!」と私の想像を超える回答を返してくれた友人もいた。

 夕方までに情報収集を終え、納得行く乳腺専門病院に予約を入れることが出来た。友人と電話する度に笑い合い、だんだんどこで笑いがとれるかつかめてくると話が会話ではなくて「ネタ披露」の場のようになってきてしまい、大笑いするのはいいのだけれど、電話を切った後に反動で落ち込む、落ち込むと不安感が増していくという悪循環となった。その不安の気持ちを紛らわすかのように新たな友人にまた電話をかけてしまう、、という具合だった。

病院は都内にあるので、私はマスクを二重にかけて万全の準備で電車に乗り込んだ。この約一年、新型コロナに罹らないようにと細心の注意を払ってきたが、新型コロナではなくて、まさか乳癌の疑いをもつことになるとは思わなかった。前からくる敵にばかり注目していたら、藪から思わぬ伏兵が横やりをいれてきたような心境だ。今、この電車に乗っている最中も、コロナにやられやしないか?!という危険性と、その危険をかいくぐって、自分の体の内部に抱えているかもしれない爆弾の処理をしてくれる名医を求めて進み、辿り着かなければならない!なんたる事態だ!

病院に着くや、女性好みの落ち着いて高級感すら感じられる素敵なインテリアの室内にホッとした。きれいなロッカーに通されて、病院専用の上着を渡された。

着替えると、まずは医師の診察を受ける前に、看護師さんの方に通された。

「私、看護師の〇〇〇〇〇です。胸を触らせて頂いてもよろしいですか?」

看護師さんは、まず最初に名前を名乗って下さり、そして突然触診するのではなく、触ってもいいか?と相手の許可を得てから触ろうとするという実に誠実に接して下さった。

「え~、イヤ!!って言ったらどうなさいます?」と私がとぼけると、

「ワタクシ、20年間看護師をやっておりますが、今まで1度も断れたことはありません。」

「触らせなかったら、何しにここに来た!帰れ!!ってなっちゃいますもんね!」

と話しつつ、看護師さんがそんなふざけた態度で笑ってくれるので、ここは噂に違わぬいい病院に違いない、と確信し始めていた。

次に胸がちぎれんばかりに板と板で挟まれるマンモグラフィーをやり、そしてようやく医師の診察に入った。

医師は美人の女医さんだった。聞けば、この病院のスタッフは全員女性だとか…

イケメン独身に出会う夢は破れてしまった。しかし、胸を診て頂くのはやはり同性の女性の方がいいなぁ~と感じた。「女性の園」病院で良かった!

しこりはあるし、エコーにも映っているので、ここ生検取ってみましょう!という話になっていたが、再度マンモの写真と見比べ、とりあえず経過観察、また後日、マンモとエコーをやってみてしこりが大きくなっているか否かをみることにしましょう..という話で終わった。

女医さんがエコーをかけている間、始終、ああイヤダイヤダ、だの、ああ怖い怖い、だの、ええ生検嫌いなんですよね~以前一度やったことがあるんですよ~!だの言っていたら、みんなそんな風に思っているのでしょうね~と女医さん。みんなは話さないのか?怖くはないのか?と訊くと、「みなさんも色々と思っているとは思いますが、口に出す方はいませんね。」と…。その為「すみません。私、どうにも心の声と口が直結してしまっているようでして..。どこか間の扉が欠けているのかもしれません。」と丁重に謝っておいた。

女医さんは、私の不安をよく理解して下さっていた。診察台から起き上がった後や撮影した写真を見ながら説明を聞いた後など、ふ~っと心がいっぱいいっぱいになっていると、優しく力強く、背中をポンポンと叩いて下さった。

惚れてしまうような素敵な女医さんのいる病院に巡り合え、この「女の園病院」にして良かったな、とほっこり安心しながら、私はご褒美のケーキを買いに千疋屋さんに向かった。

因みに、後日、乳癌ではなく、子宮癌に罹患した友人にこの件を話したところ、うふふ、と笑いながら、彼女もまっさきに思ったのは「恋が出来なくなるかも!」だったことを教えてくれた。女性性にまつわるものが失われようとする時、女性は命よりも「恋」をまず心配してしまうものなのかな…?

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