およそ6500万年前に絶滅した恐竜。いまでも歴史ロマンくすぐり、映画や漫画、ゲームなどでも欠かせない人気ものです。しかし、ある研究者はこう言います。「もし30秒隕石の落下が遅ければ、我々ヒトは存在していなかっただろう」と。
今回は恐竜の絶滅と、ちょっとしたifの世界をご案内します。
恐竜が栄えたのは中生代という時代で、最初に出現したのはおよそ2億年ほど前とされています。それから1億6000万年という長い年月が恐竜時代となりましたが、いまから6500万年前の白亜紀後期、終焉は突如訪れます。およそ直径10キロの巨大な隕石がメキシコ湾ユカタン半島に落下。100メートルを超える大きな津波が世界に押し寄せ、生物の半数が死滅。さらに1000億トンという途方もない硫黄が空を分厚い雲として多い、計75%の生物が絶滅に追いやられたとされています。その後は暗黒期に突入し、これまでの食物連鎖が終わりを迎えたのです。
しかし、最近の研究によると、「もし地球に落ちた隕石が30秒遅かったら、落下場所が変わり、いまとはまるで異なる世界となっていた」というのです。恐竜を絶滅においやった隕石がユカタン半島から少しずれて深海に直撃したとしたら、先に解説した75%の生物が絶滅することはなかったとされています。その代わり実際発生した10倍以上のツナミが世界を飲みこんだことが想定されるため、被害が甚大であったことには変わりません。しかし、もしかすると恐竜はこのときに絶滅しなかったのでは、という見解もあります。
もし恐竜が生き残り、その後も進化を続けていたら、今の世界はどうなっていたでしょうか。「人間と共存していた?」、「エイリアンみたいな恐竜人になっていた」などSFチックな世界を想像しがちですよね。しかし、おそらくそうはならない可能性が高いです。恐竜はそもそも知能が低いため、哺乳類を餌としかみなしません。ヒト型哺乳類が生きながらえる術はなかったでしょう。
30秒の隕石の落下時間の差が恐竜とヒトの進化を分断しましたが、実はいまでもヒトは一部で恐竜世界を見ることができ、同じ世界を共有しています。それは世界に1万種以上生息している鳥です。隕石の落下で生きながらえた恐竜のうち、陸での生活ができなくなった個体は空へと生きる道を見出しました。そうした進化の結果が現在の鳥に繋がっているのです。ちなみに鳥の祖先(原鳥類)は恐竜の中でも高い知能を誇っていたとされるトロオドンという説が一般的です。