最近、幸せ(ハピネス)に関する研究や議論が盛んになってきました。世の中のテクノロジーの進歩によって可能性の幅が広がったことも大きいと思いますが、急激な世の中の変化、スピードに我々人間自身が適応することに疲れてきていることも大きいのでは。と感じています。
そんな中よく言われることですが、経済的に豊になっても、科学技術の進歩で便利な世の中になったとしても、人は幸せになれるのでしょうか。
’02年にノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学の心理学者、ダニエル・カーネマンの研究によると人の感情的幸福は年収75000ドル(約800万円)までは収入に比例して増えますが、それを超えると比例しなくなるそうです。
でも、お金銀行に預ければはかさばらないし、持てば持つほど手段の幅を広げてくれるツールとして役に立ちそうです。
科学技術についてはどうでしょうか。今の私たちは食べるものを得るために毎日何時間も農作業をしたりせずにすんでいるのは農業技術や人工肥料のおかげです。飲み水を得るために毎日水汲みをせずにすむのも水道技術のおかげです。
情報通信技術のおかげで外国にいる人とTV電話をしたり、インターネットを通じて知りたい情報を瞬時に得たりできますし、社会基盤整備と機械技術のおかげで行ってみたい場所にさっさと移動できるのです。
それにより、より多くの自由な時間、より広い活動範囲、より豊かな知的生産活動から、幅広い人生の可能性を科学技術のおかげで得ているということは言えそうです。
これだけ豊かになった世の中なのに、不幸に感じる人は多いようにも思えます。
主には下記が原因ではないでしょうか。
- 生活を豊かにするモノやテクノロジーが飽和状態であること(現状に我々は満足している)
- 情報化社会になり、「使いこなせる人」「使いこなせない人」の二極化が進み、後者は利便性を享受しにくい
- 効率化が進みすぎて、人間の作業が減り、「時間を持て余す」状況が増えた。
不幸ではない、幸せ(ハピネス)な状態を作り出すには、「ハピネスシフト」つまり、発想の転換が必要なのかもしれません。
これからは、「物質的な豊かさ」から、「精神的な豊かさ」へシフトし、心のマネージメントできることが求められるのではないでしょうか。
幸せを英訳すると、happyと思われるだろうが、幸せとハッピーはニュアンスが異なるようです。ハッピーは気分、感情を表していて、とても短い一時的な状況に近いニュアンスです。
状況ではなく状態を表現したいときは、幸せ=ハピネス= well-beingと表現することが妥当そうです。