2001年に公開された映画「ロードオブザリング(原題:The Lord of the Rings)」はご覧になったことはあるでしょうか。「指輪物語」という作家・トールキン氏による名作で、実写映画では3部作の大長編として当時は世界中で人気を博しました。2020年にはアメリカでドラマの制作も開始され、およそ10年を経たいまでも色褪せることなく、人々の心の憶測にある冒険心をくすぐってくれます。
今回は、映画・ロードオブザリングにまつわる非常に興味深い雑学をお送りいたします。
映画・ロードオブザリングといえば、ご覧のようなオークが雑魚敵として何度も出現し、主人公やロールプレイヤーの前に立ちはだかるのがお馴染みですね。スクリーンで見るとその迫力に圧倒されますが、そこでふと気になることが。
「あのオークって特殊メイクのエキストラ?それともCGかなにか?」
確かに画面上には主人公たちが数百体のオークと壮絶な戦闘を繰り広げる場面が度々あります。あれらすべてがエキストラで、全員が特殊メイクをしているのであれば相当なものですね。
映画に出てくるこの多数のオーク(敵)は、実はヒトではなく、コンピューターによって作り出されたプログラムとなるんです。このプログラムはマッシブと呼ばれるソフトで制作されていて、このマッシブにファジー理論を組み込むことによって、オークが複雑な動きを自主的に行動することができる仕組みとなっています。
もう少しかみ砕いて説明すると、基本的にコンピューターの判断というのはYES or NOに委ねられます。コンピューターでオークを作り出したあとに、そのオークにインプットすることができるのは、通常「殴る、逃げる、倒れる」といった明確に定められた目的および行動となります。しかし、ファジー理論を搭載したマッシブでは、「勢いよく殴る、相手の攻撃に当たるとゆっくりと倒れる、馬が走って向かってきたら、斜め右方向へ逃げる」といった複雑・曖昧な動作が可能となります。また、これらは一体一体個別にプログラムを組むのではなく、各々が自己判断で行動を決定します。その結果、まるでヒトが本当に動いているかのうような不規則な動作を実現することができているのです。
10年の時を経てテレビドラマとしてお茶の間に戻ってきたロードオブザリング。大スペクタクルな物語も見ものですが、今回ご紹介したマッシブで作られたオークが2020年にはどのくらい進化しているのかも見どころとして、是非確かめてみてください。