普段手にするお気に入りのニット、パンツ、シューズ、バッグ…皆さんはモノを購入する時はどこで購入しますか?地元の商店街、ショッピングモールで日用品や洋服を買ったり、あるいは自分で作るという体験を購入することもあるでしょう。時には対面での購入の他に、インターネットのECサイトで少しでも安くお得に購入することもありますよね。最近では、実際の商品は店舗で確認しつつも、購入はインターネット経由で購入することもあったりその逆もあり、リアルとデジタルの世界の境目がなくなり、シームレスにつながることが当たり前となりました。こういった現象をOMO(Online Merges with Offline)といい、OMOを前提として設計された体験(UX)は、より自然に消費者に購入してもらうのに必要な概念として定着しつつあります。Z世代では普段見慣れている概念であり、今後より一層の浸透が進んでいくことでしょう。
OMOが進化するともっと便利になる
今回は今お話しした、OMOが実現する購買体験がより進化した世界のお話になります。デジタル先進国である中国ではOMOは当たり前になり、日本ではこれから徐々に浸透していくであろうこの概念の次の話とは、いささか気のはやい話かと思いますが、すでにいくつかのサービスが盛り上がりを見せているのは驚くべきことです。まさにインターネットによる、物理的制約がなくなった事による、情報の広がりの速さと多様な価値観が行き交うからこそなのでしょう。
続々と新しいサービスが台頭
今回ご紹介するのは、KickstarterやMakuakeというサービスになります。どういったサービスかというと、例えるなら「身近なクラウドファンディング」ということになります。クラウドファンディングというとここ数年大きなトレンドとして市場に受け入れられてきた、新しい資金調達の手段でありました。「○○とう事業をはじめたい。○○というプロダクトを制作するのに○○円必要。投資して欲しい。事業がうまくいったら、○○というリターンを約束する。」こういったケースが多かったのではないでしょうか。
パーソナライズな体験が全ての主軸になる
KickstarterやMakuakeのサービスでは、「○○という商品を通じてお客様に○○という体験を届ける。体験したい人は○○円払ってください。同じ思いの人が○○人集まったらスタートします。」というものです。規模は大小ですが、このサービスが革新的なのは、あくまで「体験」に「共感する」にフォーカスしていることなんです。商品を購入することではなく、その先にある「体験」は人それぞれ感じ方が違うはずです。スターバックスでコーヒーを購入する人を例にとってみると、「美味しいコーヒーを飲む体験がしたい」「落ち着いた場所で読書したい」「友達と楽しい時間を過ごしたい」等々…スターバックスに求める「体験」が全く違うし、多くの「体験」があることがわかります。KickstarterやMakuakeはこの多様なニーズに対して、「体験」を提供するプラットフォームなのです。これこそインターネットがなくては成立しないビジネスとも言えるでしょう。なぜなら、短期間で人とお金とアイデアをマッチングし、成立させる必要があるのですから。
価値本質が変わった
近年、モノを所有するということに価値はなくなりつつあります。あくまでそのモノが提供する「体験」に価値の軸は移っています。同じ「体験」ができるのであれば「シェア」でも「それ以外の何か」でも良いわけなのです。車などは良い例で、かつては所有することが前提でありましたが、近年ではカーシェアのニーズが高まりつつあります。「体験」したい時だけ、「体験」を買うわけです。今回ご紹介したKickstarterやMakuakeは「体験」の選択肢を増やし、よりパーソナライズされた体験を得ることができるのです。
そこから見える私たちの社会とは
もう少しすると、人々はKickstarterやMakuakeのようなサービスで、小規模で細分化された、個々のニーズにあった「体験」を手軽に手に入れることが普通の社会となるはずです。必要なモノを必要なだけ提供するためこのサービスは、過去の大量生産、大量販売、大量廃棄のビジネスモデルに頼らない、需要と供給を高レベルでマッチさせることで不要なモノを作らない、地球にも優しい、効率的な社会になっていることでしょう。
今回ご紹介したのは、多くのサービスのほんの一部です。今後も新しいサービスがどんどん出てきていますので、どんどんご紹介していきたいと思います。お楽しみに。