現在の地球上において、電波は必要不可欠な存在です。電話やインカムといった通信機器はもちろん、電子機器を使う際には必ず電波が必要となります。電波の存在は1895年にイタリア人の発明家マルコーニによって認められ、そこからさまざまな通信手段が開発・発展しました。そこで、今回は電波の発見から17年後に起きた歴史的事故と電信の意外な繋がりをご紹介します。
1912年4月14~15日にかけて起きた歴史的大惨事といえば「タイタニック号沈没」です。イギリス発のアメリカニューヨーク行きの大型客船タイタニック号が氷山にぶつかり沈没した事件として知られています。タイタニック号の沈没に関してはいくつかミステリアスな部分が残されていて、いまもなおテレビで研究者たちの話題に上ることもありますね。
電信手段として19世紀に発見されたモールス信号は、音の長短により自分の簡単な意思を伝えることができる電気通信手段。テレビや電子メールが発達する前では画期的な方法として騒がれて、また世界共通の意思伝達手段としても注目を浴びました。特に船舶の避難救助を求める信号としては長く使われ、1992年にGMDSSが採用されるまで活躍しました。
そのモールス信号は性質上SOSの避難信号としての性格が強かったため、せっかく発明されたにも関わらず、長い間実務として使われませんでした。しかし、1912年にとうとう使う日が訪れたのです……それが、タイタニック号沈没事件です。
タイタニック号を取り扱ったドラマ・映画として最も世界から注目を浴びたのは、1997年ジェームズ・キャメロン監督、レオナルドディカプリオとケイトウィンスレット主演の映画「タイタニック」ですね。タイタニック号の沈没をあれほどドラマチックに描いた作品もありません。同作品の監督ジェームズ・キャメロンも、実は「タイタニック号の沈没時のSOS信号が、初めてモールス信号が実務で使われた歴史的瞬間」であることを知っていたようです。その理由として、作中にタイタニック号が沈没していく際、船員がモールス信号を鳴らすシーンがわざわざ描かれています。
そんなモールス信号も2020年現在は忘れられた産物となり、それに代わってさまざまな電信手段が開発されました。人類はたったの100年で目覚ましい進歩を遂げ、人々の生活はより豊かなものとなりました。しかし、その発展も先人の人々の功績があってのこと。ときには彼らの歴史を振り返ってみるのもいいのでは。興味深い時間を過ごすことができるでしょう。また、これを機会にももう一度映画「タイタニック」を見て、モールス信号の場面を確認してみてください。