筆者がベトナムに移り住んだのは25歳のとき。学生時代に東南アジアを渡り歩き、新卒で会社を就職して丸3年が経ったあとに、日本の社会から抜け出したくベトナムのホーチミンへ移住することを決めました。それから10年が経ったいま、ふといままでのベトナム生活を振り返るときがあります。そこで改めて実感するのが、「今の生活に幸福を感じている」ということ。ここでは筆者がベトナム生活を通して、リアルに幸せを感じた5つのことをご紹介します。
しばしば旅人の中では、「日本とは違う習慣や文化を体験したときに幸せを感じる」という人がいます。しかし、習慣や文化は良い面もあれば悪い面もあり、成熟した先進国で育った日本人からすると、アジアのそれは生活の中でうんざりと感じることが多々あります。一方、外国語を話す楽しさは、日々の生活でリアルに感じることができます。「自分は異国にいるんだ」と優越感にも似た感情が沸き上がる瞬間でもあります。
ベトナム人、アメリカ人、フランス人、スイス人、韓国人、カタール人、そして筆者の7人でカフェの丸テーブルを囲んでコーヒーブレイクをとっていたとき、ふと自分の置かれている状況に小さな幸せを感じたことがあります。日本では滅多に体験できない、見ることのない風景ではありませんか。まったく異なる境遇で1つの国に集い、さまざまな国籍の人と冗談を言い合い笑いあう。海外生活の醍醐味の1つですよね。
物価の安いベトナムに暮らしていると、「日本でこんな高級レストラン行ったことあるかな?」というお店にも足を運ぶことができます。週末はフレンチや5つ星ホテルのビュッフェ、欧米人が経営しているビーフステーキ・レストランなどにしばしば行きますが、これはベトナム在住者にとっては普通の生活です。
筆者が暮らしているマンションは、プールや公園、キッズクラブといった居住者用の設備がありますが、平日の昼間からプールサイドのデッキチェアに寝そべっている時間は幸福を感じるひと時でもあります。ベトナム人からすると高級の部類ですが、家賃は6~8万円です。
もともと筆者は「スーツ」、「満員電車」、「残業」という窮屈な日本の社会から抜け出し、人生の軌道修正をした身。ベトナムに移住して10年を経たいまもノマドワーカーとして自由な時間を手にすることができているのは、海外生活だからこそ容易にできたと考えています。日本で暮らしては得られなかった仕事と人生だと感じたとき、幸せを感じずにはいられません。
日本の暮らしは大変という人もいるかもしれませんが、先進国の日本での生活は世界でも羨望の眼差しで見られるほど幸福です。しかし、そんな日本人が異国の地で暮らすならば、また日本の生活とは大きく異なる幸せの形を知ることができるはずです。長い人生の中で一度くらい、小休止として異国の地に移り住んでみるのもいいかもしれませんね。