化粧品を日々使っている女性の命題ともいえる「アンチエイジング」。化粧品メーカーも競うように毎年オリジナルの商品を打ち出していますが、今まで使っていた化粧品の中で、「本当にシミが消えた」、「肌のたるみがなくなって、シワがなくなった!」といった目に見えた効果を発揮した商品はあったでしょうか。
まずは肌の構造を考えてみましょう。よく化粧品の謳い文句で、「角質層の奥底まで届く~」なんてフレーズを目にしますよね。この角質層は実は肌の一番外側にある表面となります。肌の奥はさらに顆粒層、有棘層、基底層から成り、これらが表皮と呼ばれる層となります。ちなみに紫外線を浴びると肌を守るためにメラニンが生成され、それが表皮に浮き出て、人の肌は褐色化されますが、そのメラニンを生成する場所は基底層に当たります。
しかし、角質層に浮かび上がる肌というのは、実は細胞の死骸。ここにいくら化粧品をつけて肌に保湿を与えたとしても、細胞分裂を繰り返し、外側の肌が排出されると化粧品の効果はなくなります。そのため、化粧品は毎日つけなければ意味がありませんし、仮に角質層を化粧品成分が満たしていたとしても、根本的な肌老化を解決することはできません。
もし本当に肌の若返り、シミの予防、もっちり肌の回復をしたければ、さらに肌奥にある真皮層に化粧品成分が到達しなければなりません。最近はあまり見かけなくなりましたが、「真皮層まで到達する化粧品」といったフレーズを掲げた商品も以前はありました。この真皮層は血管や汗腺などが通っている層で、外部から細胞を守るためのコラーゲンやヒアルロン酸が存在するのもこの真皮層となります。
しかし、現時点で世界で販売している化粧品はすべて真皮層に届くものではありません。化粧品成分が偶然にも表皮の網の目をくぐり抜けて真皮層に届くことはあるかもしれませんが、直接肌に影響を与えるには至っていません。その理由はいくつか考えられます。
1.もし真皮層に届く化粧品が発売されたら、化粧品がこれ以上売れなくなる
2.真皮層に作用する化粧品は法律上作れない
ことが挙げられます。1.は都市伝説的な意味合いもあり、現実は2.となります。真皮層で肌に何かしらの作用をする場合は、それはすでに「治療」となってしまうため、美容外科など医師による手術が必要となります。スキンケア用品は一般的に「医薬品」、「医薬部外品」、「化粧品」の3つのカテゴリーに分けることができ、化粧品は肌に与える作用が最も下の部類となります(だからこそ年齢制限や医師の処方無しで買うことができます)。
とある化粧品関係者は、「肌を老化から守る最も効果的な方法はUVカットクリームを怠りなく使うこと」と言います。それだけ紫外線は老化を早めるのです。数万円もするブランド化粧品を使い続けるのもいいですが、基本的な対策を行うことが、もしかすると最も有効的なアンチエイジングかもしれませんね。